2012年7月10日火曜日

7月10日

数日前の東京新聞に、ひとりの男性が紹介されていた。
福島の二本松市のNPO職員、関久雄さんというかただ。
61歳の彼は、東京電力福島第一原発の事故で放射能に汚染された自宅庭の土をリュックサックに背負い、東京を目指して歩いている。
歩いて、いるのだ。この暑さの中を。

東京にたどりついたら、彼は東電と経済産業省の職員に手渡す予定だという。
「この中に含まれる放射性物質は私たちの物ではない。国と東電に返したい」。
関さんの憤りが伝わってくる言葉だ。
ビニール袋に入った少しの土に、持ち歩いている放射線量測定器をかざすと、
毎時0・27マイクロシーベルトを示したという。
この数値は、24時間身に付けているとすると、単純計算で、
155日日間で一般の人の被ばく線量限度である年間1ミリシーベルトに達する計算だ。
放射性物質を含んだ土の遺棄は放射性物質汚染対処特別措置法に触れる可能性はあるが、携行について取り締まる法律はないという。
関さんのNPOでは廃校を利用し、農業体験や自然との触れあいの場を子どもたちに提供してきたそうだ。
事故の直後、自宅前の土や芝生の放射線量は毎時7~9マイクロシーベルトの高い値になった。
表土をはぎ取ったりしたが、現在も〇・7マイクロシーベルト前後で、室内でさえ〇・~〇・マイクロシーベルト。

関さんは過去にも反原発運動の一環で、使用済み核燃料再処理工場がある青森県六ケ所村から、高速増殖原型炉「もんじゅ」が立つ福井県敦賀市まで、複数の仲間とリレー形式で走った経験があるという。
六月上旬に二本松市を出発し、仕事が休みの月曜と火曜を利用して東京に向かった。
前回歩いた場所までは知人の運転する車などで歩みを進め、福島県郡山市、須賀川市、栃木県那須町と南下してきた。
「原発いらない」「こどもを逃がせ」と手書きした段ボールを体にくくり付けてのウォーク。
通りがかりの車から支援のクラクションが鳴る。時には、止まって「がんばってください」と言ってくれるひともいるという。
16日に東京・代々木公園で行われるデモ「さようなら原発十万人集会」に間に合わせるため、すべての道のりを歩くことは断念したそうだが、
17日に東電本店や経産省前で予定されるデモの時に、土を手渡す予定だという。

……と書いていて、涙がでた。

関さん。そして多くの方々、
16日、お目にかかりましょう。