2011年11月10日木曜日

11月10日

よく仕事をした木曜日だった。大学で授業をふたコマ。
それから全国中学生人権作文コンテストの選考会。
そして、カナダの児童文学者デボラ・エリスさんとの対談。
そして、その後別の場所へ移動して打ち合わせ。
ひとは十数時間働きつづけると、規模の大小に関係なく、
なんらかのミスをすると言われているが。
ミスしなかったか? わたしよ。

デボラ・エリスさんはの作品はさ・え・ら書房などから何冊も翻訳されている。
戦火のもとの子供たちや、貧困の中の子ども、
学校というシステムの中で立ちすくんだり、
果敢にその壁を破ろうとする子どもや女性を描く作家だ。

わたしは特に、2001年に日本では翻訳刊行された『Xをさがして』の主人公、
「カイバー」(自分でつけた名前が)が大好きだ。
……母さんは昔、ストリッパーだった……から始まる、
この過激にして初々しい少女の、成長物語。
それはそのまま、母さんと双子の自閉症の弟と「わたし」という
家族の成長物語でもあるのだが。

「カイバーは、わたしに似ている部分もあるし、
わたしがそうありたかった少女像でもあるわ」
デボラさんはそうおっしゃった。
はじめての来日。
講演などの合間に、福島を旅して、
いろいろなひとやいろいろな風景に出会ってきた。
17歳の時から、非暴力、平和運動、フェミニズムなどの
活動をはじめた彼女は、いまもパートタイムで、
かつて勤務していたトロントの施設で、カウンセラーの仕事も続けている。
並行してアフガンの難民を支援するNPOの中心人物でもある。

「わたしは子どもがいないわ。でも、わたしは
かつて子どもだったし、わたしの中にはかつて子どもだったわたしがいまもいる。
だから、子どものことを書くのは自然なことだと思う」。
と、彼女。
原発をなくすために、「わたしたち」にできること。
そのテーマでも熱くなって話をした。
詳しくは2月号の『クーヨン』で。