2011年11月15日火曜日

11月15日

移動の新幹線の中で、池内 了(いけうち さとる)さんの
『娘と話す 原発ってなに?』(現代企画室)を読む。
10月に送っていただいた新刊だが、もっとゆったりとした
時空の中でと思って、机の上に大事に置いておいた。
けれどやはり読みたくて、今日は旅行鞄に忍ばせた。

池内さんが原発反対とおっしゃっていることは、
さまざまなメディアでの発言を通して、わたしたちは知っている。
同世代のこの著者の『娘と話す……』シリーズは、
どれもが魅力的だが、特に本書は心に響く。
晶文社から刊行されている池内さんの『ヤバンな科学』も愛読書だ。
……原発事故が起こって初めて、私たちは異様な国に住んでいたことを
しみじみと認識させられた。五十四基もの原発を海岸線に建設して
安逸さを貪ってきたことだ。原発が危険な放射能を大量に内蔵している
ことを知りつつ、安全神話を信じ込み、エネルギー浪費の体質に染まっていた。(中略)
そこに潜む差別の構造を見て見ぬふりをしてきた……(後書きより)。
だからこそ、「既存の路線を踏襲しようという勢力」と対峙し、
わたしたちは「今回の事故を奇貨にして世界に先駆けて文明の転換を図る国にしなければならない」
と池内さんは記す。

まったく同感だ。
これを「奇貨として、文明の転換を図る」ことができなかったら、
わたしたちはあまりに愚かであり、悲しすぎる。