2011年8月22日月曜日

8月22日


きれいな黄色いおくるみに包まれた生後ニか月の赤ちゃん。
抱っこさせていただいた。
ご機嫌な赤ちゃんで、小さな足の裏で宙を蹴るような仕草をしていた。
「絵本、ありがとう」
と声をかけてくれたのは小学校3年生の男の子。
「福島っこの夏休み」で、
福島から白樺湖畔に「一時疎開」している子どもたちだ。
20日、およそ七十のご家族の、
主にお母さんたちとお話をした。
「次期首相のことばっかりが、報道されているますが、
わたしたちはどうなるのでしょう。
彼らはわたしたちの苦しみがわかっているのでしょうか、
伝えてください!」
泣きながらそう言ったのは、黄色いおくるみの赤ちゃんの、母親だ。
分厚いノートを、「放射性物質」、「メディアの情報」などと
インデックス分けをして、ノートを作っていた母親もいる。
なんとかして、子どもたちを守りたい………。
必死の思いが、びしびし伝わってくる。
みんな、泣いていた。
涙を流す余裕もなく、「今日まで来ました」という彼女たち。
子どもと一緒に写真を撮る。
一方の手で小さなピースサインを作り、
もう一方の手は、わたしのシャツの裾をしっかり握っている。
この子たちはなにも選んではいないのだ。
選んではいない原発の「暴走」が、
この子たちを苦しめているのだ。

時折り雨が降る長野で、
わたしの涙も止まらなかった。

間もなく、彼らや彼女らは、福島に帰っていく………。
小さな足の裏で宙を蹴っていたあの子も、
小さな手の指先でピースサインをカメラに向けたあの子も。

弾かれたように外に飛び出し、土を握りしめ、
それから「こうしてよかったんだっけ?」と母親を振り返った子も。
土に触ってはいけないとずっと言われ続けた癖が
ついてしまったのだろう。
「ここは、大きく息すっていいの?」
と尋ねた子も。
みんな、みんな帰っていくのだ。